宮城県産業デザイン交流協議会

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MIDEC TIMES Vol,15

●特集「石との出会い」
・大蔵山見学会報告

●new face profile
平和紙業株式会社 仙台支店 営業部 高玉 浩

●MIDECデザインセミナー
新たな三次元ものづくり空間「セカンドライフ」入門セミナー

●編集後記



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●特集「石との出会い」
大蔵山」見学会報告

 去る8月26日、MIDEC法人会員の「山田石材計画株式会社」様の石材加工場と採石場跡地にある「大蔵山工房」を見学しました。白石市と丸森町の境に位置する採石場で採掘される伊達冠石(別名・泥かぶり石)は、彫刻家イサム・ノグチが数多くの作品を制作したことでも知られています。ニューヨークのイサム・ノグチ・ガーデン・ミュージアム、香川県牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館にはこの石を用いた作品が何点も展示してあるとか・・・。世界的な彫刻家をも魅了した石・伊達冠石とは一体どんな石なのでしょうか。伊達冠石を熟知し、素材の石質を最大限に生かしている彫刻家であり大蔵山造形研究所 所長の小関さんからメッセージをいただきました。



「山の恵み・石」(有)大蔵山造形研究所
代表 小関 直子

 私と石との出会いは学生時代にしかできない造形活動として、石彫を卒業制作に選んだことが始まりです。塑像や焼き物は完成までの工程が長く感じられ、素材の変わらない石の作業は気の短い私には最適で、やり直しのきかないところも魅力的でした。同じ創作活動を行う仲間の居る長野県の採石場での石との出会いは子供のころに遊び歩いた野山の景色と重なり居心地満点でした。大地に抱かれているような安堵感が制作を支えていました。
 現在、そのころ感じた快さのとおり、白石市に在住ですが隣町の丸森町に位置する採石場内に仕事場を持つことができ、さらに石の造形に関わり生活をさせていただいております。
 宇宙の成り立ちと共に存在する石は神秘的です。こちらの心の準備を見透かしたかのように応えます。ときには厳しく跳ね返され形にすることを許してくれません。あるときは暖かく見守り、重労働も疲れではなく快さを感じさせてくる不思議な仕事です。路傍の石地蔵がお顔が崩れても手厚く扱われるのは、彫られた祈りの気持ちをいつまでも留めているからでしょう。
 東北に生まれ、足元の素材で足元の風景を作っていく仕事ができることに感謝しながら、注意深く、石で作ってはいけないものの見極めをしていくことだと思っています。機械化が進み人の手では到底できなかった細工や加工が可能な時代、人間の傲慢さだけが浮かびあがり石が石らしくない姿に変えられていくことに悲しみを感じているからです。
 風景の中に石を置くことは、鎮守の森を作るが如く、石の傍らに草の種が飛び、実生の種が育ちやがて誰も動かすことのできない石を囲む森ができる。そんなお手伝いができるようになれれば、山の恵を戴いて、石を削ることでしか形にできない私たちの造形活動が実を結ぶことにつながる気がします。



 はじめて大蔵山を訪れ眼下に広がる雄大な眺めに感動した人、
 リピーターとして大蔵山の魅力を再確認した人、
 参加者からのメッセージをご紹介いたします。



「宮城県の貴重な財産のひとつに触れて」
宮城教育大学教授 桂 雅彦

 やや残暑が厳しい晴れの日、丸森の山の頂にある山田石材新社屋に午前11時に集合。まずは山田社長より会社説明と伊達冠石についての興味深い話をいただいた。イサムノグチが好んだ日本的な味わいのある個性的な石である。泥かぶりの表面と切断面を磨いた光沢感のある黒のコントラストが何とも言えない。この地でしか採れない自然の造形物である。社長の伊達冠石についての思い、それを育てた山への感謝の念など熱く語っていただいた。続いて工場へ移動し、大きな石を加工する機械などを見学、固く重い岩石の加工がいかに大変か痛感させられた。
 車でさらに山を登り高台に広がる平原を見ることができた。そこにはストーンサークルがそびえ、石舞台と階段状の座席がある。向こうには、石堂、大蔵山造形研究所がある。遠くに蔵王連峰や磐梯山が見える。徒歩で山の中へ・・山神さまの石碑に一礼をし、さらに進むと別世界が広がる。大きな伊達冠石の群れが壮観で、褐色の土が生み出した卵が転がっているようだ。訪れるたびに思うのだが、商品撮影やファッション誌のモデルの背景にとても合いそうな気がする。そんな雰囲気が漂う非日常な空間だ。
 採石場の圧倒感から抜け出してストーンサークルのある平原に戻り、奥の山堂に向かった。大蔵山造形研究所の方々が我々の為にいろいろ準備をしていただいた。山堂は、伊達冠石と木材の作品といえる建物で、中には大きな伊達冠石がたたずんでいる。説明によるとその柱状につき出した伊達冠石を祭るがごとくそれを取り囲むようにして建物ができている。なんとも神聖な場なのだ。そこで、大蔵山造形研究所の所長である小関さんから説明をいただき懇親会が始まった。おいしい手料理をいただいた後、小関さんの姪である素敵なピアニストによる演奏が始まった。山堂の天井の角度が音をきれいに反射するように設計してあるとのことで、美しい音色に皆酔いしれることができた。
 今回の企画は、山田社長から伊達冠石を使ったプロダクトデザインの可能性をMIDECブランド研究会で受けて、それの為の視察が主であったものの、参加していただいた皆さんは、伊達冠石の素晴らしさ、大蔵山の素晴らしさに感動し、宮城県にある財産のひとつに触れることができたことに感謝されているようだった。



「世界に誇れる生命力をもった石」
宮城大学准教授 平岡 善浩

 私は大蔵山の訪問は2度目になりますが、山田石材計画の山田社長から事務所や工場、伊達冠石採石場、山堂などの建築を含めたランドスケープのご案内を受け、大蔵山造形研究所の小関さんからスライドを用いながら大蔵山の活動やご自身の作品についてご説明いただきました。長い時間をかけて環境と対話し、いろんな人たちと関わりを持ちながら作られてきた大蔵山の風景は、とても美しく穏やかなものでした。ただ、そこに佇むと、ものづくりを業とする者に対し、環境や時間の概念、創作に対する姿勢など様々な厳しい問いかけをしてきます。今後もこのすばらしい活動を続けていただきたいと思います。
 また、日頃明日は価値がなくなるような薄っぺらなものと接していることが多いからでしょうか、これまでも、これからも、そこに存在し続ける石の姿に心を打たれました。石を素材として命を与えるなど到底おこがましく、石がもつ力を我々のくらしの中に生かすことができるか。伊達冠石は世界にも誇れる生命力をもった石だと感じました。
 家族でお邪魔しましたが、スタッフの方々のおいしいお料理やピアノの演奏、桂先生のサックス演奏など、とても和やかで心地よい週末の時間を過ごさせていただきました。




「まるで黄な粉をまぶした巨大な黒蜜飴のよう・・・」
毛筆文字デザインルーム 洞口 恵子

 大蔵山は白石市と丸森町の境にあり、角田にも間近い里山。山田石材さんは、県道24号から山道をちょっと入った所にある新しい社屋。石材に囲まれた明るい事務所で、山田社長さんから伊達冠石のお話を伺う。
 その後、工場見学と採石場の散策となった。
 8月の炎天の中、ミズナラや雑木の小径をたどり視界が開けると、そこには蔵王の峰々の大パノラマ。思わず歓声を上げる。登山好きには心躍る景色だ。白石蔵王駅も眼下に見える。尾根沿いに下ると、広大な茶色い採石場が広がっていた。伊達冠石の原石は外側が泥茶色で角が丸く、磨くと模様が出て磨面は自然にくすむそうだ。まるで黄な粉をまぶした巨大な黒蜜飴のよう。石置き場には表情の異なる石が野の草同様自然に置かれ、デザインされた水場や石舞台も点在し、しばし時を忘れた。
山の修景を穏やかに語る社長さんの思いに頷き、石のある景色を楽しみながら歩くうちに昼過ぎとなり、石瓦土壁造りの「山堂」に到着。隣の山田社長さんの私設文庫「六角堂」とともに、建物の基礎に石垣を積んだ贅沢な建物に感心する。
「山堂」は多目的ホールで、彫刻家小関直子さんによる作品のご紹介のあと、瑞々しいピアノやサックスの演奏もあり、終始なごやかなムード。それに何と言っても、スタッフの皆様による心尽くしのおいし〜い丸森の山の幸!!差し入れの雄勝の海の幸にも舌鼓。(大蔵山造形研究所ブログに写真掲載ありましたね)
 久々のMIDEC行事への参加で、かつ家族歓迎の事務局のお言葉に甘えての義父母連れでしたが、すっかりくつろいでしまいました。義父母も、事務所前の燈篭が欲しいとか、墓石は「泥かぶり石がいいっちゃあ」など、家に帰っても興奮覚めやらぬ様子。皆様のご厚意を身にしみて感じた一日でもありました。本当に有難うございました。
 多様な可能性を秘めた大蔵山、四季を通じて訪れてみたい山です。




●new face profile
平和紙業株式会社 仙台支店
営業部 高玉 浩

 今年より入会させていただきました、タカダマと申します。
 MIDECの存在は、前からデザイナーの方々から情報を入手し知っておりましたが、昨年の総会後の懇親会に参加させていただき、大変身近な存在と感じて入会させていただきました。当社は、昨年60周年を迎えました。
 取扱い商品は和・洋紙をメインとしながらオリジナル商品の開発・販売を手がけている紙の代理店でございます。会員の方々の会社でも間接的に、お酒・お菓子・かまぼこ等のパッケージや包装紙・バッグなど幅広くご利用いただいております。
 最近では、商品券などに使われるセキュリティ用紙や、匂いや抗菌効果のある光触媒紙などが注目を集めております。皆さんもご存知のクリーングに出すと付いてくる、青や黄色のNOの入ったホチキスで止めてあるタグは、耐洗紙といって当社のオリジナル商品です。特殊な紙のご相談ならキャリア28年ペーパーアドバイザー(紙営業士)の私にご相談ください。企業イメージに合うファンシーペーパーをご紹介できると思います。これからも宜しくお願い申し上げます。




●MIDECデザインセミナー
新たな三次元ものづくり空間 「セカンドライフ」入門セミナー

日  時 2007年9月26日(水)17:30〜19:30 (17:20開場)
場  所 東北工業大学一番町ロビー 4階ホール 
     青葉区一番町1-3-1(ニッセイ仙台ビル) TEL.022-723-0538
参 加 費 無料
定  員 50 名
講  師 猪狩 和浩 氏 (株式会社アイグラフ 代表取締役)

参加申し込み方法
氏名・所属・連絡先ご記入の上、midecsemi@midec.jpにメールでお申し込み願います。




●編集後記

子供の頃、河原で石拾い・・そんな思い出が蘇ってきました。
巨大な石の群れに好みの形や佇まいの石を見つけてはアレがいいとか庭に置きたいなどと、「石の魅力」に導かれながらの見学会でした。
採石場跡地の緑化整備に対する姿勢や取り組みは、自然と芸術の融合を実現していました。石と向き合い、石の言葉を聞きながらの創作活動は、まさに風土から生まれる造形そのものといえるでしょう。
大蔵山に集い、音楽を楽しんだり心づくしの手料理をいただいたり・・と楽しい夏のひとときでした。みやぎの貴重な資源、「伊達冠石」は、とてつもない迫力と存在感がありました。活用にあたっては、中途半端なアイディアでは「この石の魅力を引き出すことはできない・・」と強く感じました。(K.S)
(2007年09月14日掲載)